観光特急あをによしに乗ってきた

近畿日本鉄道(近鉄)の観光特急「あをによし」をご存知でしょうか?予約開始とともに、ほぼ満席になる人気の観光特急です。

あをによしはどこを走る、どんな特急なのでしょうか?今回は歴史系ではありませんが、あをによしを紹介したいと思います。

どこを走っている?

あをによしが走っているのは、近鉄難波線・大阪線・奈良線・京都線です。具体的には大阪難波―奈良―京都間です。

第1便が難波→奈良経由→京都、第2・4・6便が京都→奈良、第3・5・7便が奈良→京都、第8便が京都→奈良経由→難波、となっています。乗車時間は第1・8便が約1時間20分、第2~7便が約35分です。ただ、乗っているだけならともかく、あをによしを満喫するなら35分では時間が足りないと思います。乗るなら第1・8便をおすすめします。

あをによしが走る路線の内、難波線は難波~上本町、大阪線(の内、あをによしが走る部分)は上本町~布施、奈良線は布施~大和西大寺~奈良、京都線は大和西大寺~京都を指します。

この内、大阪線の上本町~布施間と奈良線は近鉄の前身である大阪電気軌道によって大正3(1914)年に開業した、近鉄の元祖とも言えるぐらい長い歴史をもつ路線です。

また、京都線は奈良電気鉄道によって昭和3(1928)年に開業しました。

あをによしが走るのは、このように近鉄の中でも長い歴史をもつ路線が主です。

あをによしの料金・予約

・料金

あをによしは近鉄特急の一つです。近鉄は特急が全て有料で、普通運賃とは別で特急料金が必要です。あをによしは更に特別車両料金も必要となります。

乗車区間によって異なりますが、最長の難波~京都の場合は、大人1人あたり普通運賃1,140円、特急料金920円、特別車両料金210円(合計2,270円)です。つまり、普通運賃に1,130円プラスするだけで、観光特急に乗ることができます。

京都~奈良間の場合は、大人1人あたり普通運賃760円、特急料金520円、特別車両料金210円(合計1,490円)です。

注意が必要なのは、あをによしは1人の料金だけでは乗れないということです。2人以上で乗るなら問題ありませんが、1人だけで乗りたい場合は、大人1人分の運賃・料金に加えて子ども1人分の特急料金・特別車両料金も払う必要があります(子どもの普通運賃は不要)。子どもの各運賃・料金は大人の半額です(端数は10円単位に切り上げ)。

これは、あをによしには1人席が無く、向かい合わせの2人席(ツインシート)か3~4人席(サロンシート)しかないためだと思われます。

私は1人で難波~京都を乗りました。大人1人の普通運賃1,140円・特急料金920円・特別車両料金210円に加え、子ども1人の特急料金460円・特別車両料金110円の合計2840円でした。子ども1人分として余分に払ったのは570円です。個人的な感覚では、あをによしに乗れるなら、570円ぐらい安いものです。

・予約

近鉄特急の予約(特急券の購入)は当日乗る前でも可能です。ただ、あをによしは人気列車なので、当日買うのは難しい可能性が高いです(奈良発京都行はまだ取りやすいらしい)。事前購入は乗車1ヶ月前の日の午前10時30分からです。便によっては1ヶ月前の日の夜にはほぼ満席になっているので、発売開始後すぐが望ましいと思います。

ツインシートはある程度席数があるので、10時30分直後でなくても大丈夫かもしれませんが、サロンシートは3組分しかないので、急いだ方が良さそうです。

特急券は窓口でも買えますが、インターネットであれば自分のタイミングで10時30分になったら買えるので、便利です。1人で乗る時は、大人1人・子ども1人の計2名乗車として買い進めていく必要があるので、注意してください(大人1人だとエラーになって画面が進まない)。

あをによしには前述のようにツインシートとサロンシートがあります。(下図参照。詳細は後ほど。)。

あをによし車内図 近鉄ホームページより引用

上図の1・3・4号車の緑の席がツインシート、2号車の赤い席がサロンシートです。

ツインシートは、正面向かい合わせの席と、斜め向かい合わせの席があります。私のおすすめは斜め向かい合わせの席です。この席だと周りの席が見えにくく、半個室感があります。車両の端の席だと、なおさらです。斜めの席それぞれから相方の席を見た視線が下の写真です。

後ろにある席や隣の席がほとんど見えないので、良いです。

斜め向かい合わせの席が良い理由はもう一つ、後ほど紹介しますが、こちら側の席は生駒山地を登って行く時に大阪平野を眺めることができます。非常に眺望が良いので、おすすめです。

あをによしの外観

「あをによし」という名は、古都・奈良に掛かる枕詞に由来します。奈良の都の美しさをイメージして名付けられたそうです。

次に、あをによしの外観を見てみましょう。

あをによしの正面・側面は下の写真のようになっています。

あをによしのデザインは「奈良の和」の美しさ、尊さを表現しています。車体は紫色を基調としており、これは天平時代(8世紀中頃)に高貴とされた色です。時代が少し前ですが、厩戸皇子(聖徳太子)が定めた冠位十二階でも紫が最高位となっています。

車両の正面中央や側面にあるエンブレムは、吉祥文様花喰鳥(きっしょうもんようはなくいどり)です。めでたい事が起こる前兆とされる瑞鳥(ずいちょう)が花枝等をくわえた姿です。正倉院の宝物や工芸品にも縁起が良いとして使われている文様だそうです。

車体側面に大きく描かれている花のような絵柄は、正倉院の宝物「螺鈿紫檀五弦琵琶(らでんしたんのごげんびわ)」に用いられている花柄です。

現在の近鉄に紫色の車両は無いので、普通の近鉄特急や一般車両を見慣れていると、あをによしは異色に見えます。これも特別感があって良いですよね。

なお、あをによしは新規に製造された車両ではなく、12200系特急車両(通称スナックカー)を改造したものです。スナックカーは特急としては全車引退しましたが、実は姿を変えて残っています。12200系の改造車両は、他に現在の「あおぞらⅡ」や「かぎろひ」も該当します。

あをによしの車内

続いては車内に入ります。車内の図を再掲します。

あをによし車内図 近鉄ホームページより引用

あをによしは4両編成で、1・3・4号車はツインシート、2号車はサロンシートと販売カウンターです。車いす席は3号車にあります。4号車にはライブラリーもあります。

・ツインシート

ツインシートは右の写真のようになっており、座席の向きは、下の写真のように正面向かい合わせと斜め向かい合わせがあります。

ツインシート車両
正面向かい合わせ席
斜め向かい合わせ席

どちらの席もシートの間には大きなテーブルがあります。斜め向かい合わせ席のテーブルの方が大きい感じです。テーブル上には青い照明があり、恐らく正倉院の瑠璃杯がもとになっているのだと思います。

シートはリクライニング機能はありませんが、座り心地はとても良かったです。また、前述のように、顔の両側にはシートが出っ張っているので、もたれると左右が気になりません。

斜め向かい合わせの席は、窓に向かって斜めになっているので、景色が見やすいです。

また、カーテンやカーペット、天井にも天平時代っぽい文様が描かれています。

カーテン
カーペット
天井
天井の照明

斜め向かい合わせ席の壁の下側や正面向かい合わせ席のシート下には校倉造りのような細工があります。

壁側にはコンセントもあります。

・サロンシート

2号車にはサロンシートと販売カウンターがあります。この間は扉で仕切られています。

サロンシートは3組あり、1組あたり4人席(3~4人で利用可)です。

ここの座席(ソファー)は動かせるようです。中央には大きなテーブル、窓際にはコンセント、座席の後ろには荷物置場があります。

右の写真のように、サロン席と通路の間には仕切りがあり、完全ではありませんが、半個室になっています。通路にはアーチがあります。

・販売カウンター

2号車の販売カウンターではスイーツや飲み物、グッズ等を買うことができます。また、記念乗車証もあり、無料でもらえます(1人1枚)。ここのカウンターも校倉造りのようになっています。

記念乗車証

メニューは変更になる可能性がありますが、近鉄のホームページで確認することができます。

私は大阪難波から京都行に乗りましたが、生駒駅の手前(難波から20分弱)で販売カウンターには誰も並んでいませんでした。スタッフの方に聞いたところ、このあたりだと普段は並んでいるらしいです。大阪からの乗客が多い日は西大寺駅(難波から約30分)あたりまでは並んでいるようです。今回はかなり運が良かったようです。

他の人の乗車動画等でも外国人乗客が多いと言われています。私が乗った時も外国人の割合が高かったです。外国人はあまり販売カウンターを利用しないのでしょうか?私の周辺座席の外国人はほとんど席に座ったままな感じでした。

私が買った物については後ほど・・・。

・ライブラリー

4号車の端(乗務員室の手前)にはライブラリースペースがあります。

ここには奈良や京都に関する本が置いてあり、自由に読むことができます。前にはソファーもあるので、ここでゆっくり読めそうです。が、車窓を楽しみ、販売カウンターで買って食べて、していると読む時間はなかなか厳しいかもしれません。

私は写真も撮りまくっていたので、読む時間は無かった・・・。次は見てみたい。青の交響曲に乗った時は少しライブラリー見る時間があったんですけどね。

・大型荷物置場

ツインシートの1・3・4号車の車端部には大型荷物置場があります。写真のように、かなりスペースがあるので、大型荷物でも大丈夫そうです。もちろん、座席の上には普通の荷棚もあります。

なお、2号車(サロンシート)には大型荷物置場や荷棚はありませんが、各部屋(半個室)の座席の後ろに荷物置場があります。

・トイレ

トイレは1号車に普通のトイレ、車いす席がある3号車には多目的トイレがあります。

1号車の普通のトイレ
3号車の多目的トイレ

トイレの外にある洗面台も古風なデザインになっています。カーテンを閉めると個室状態になります(足元は空いています)。

また、洗面所には紙おしぼりもセットされており、自由に持っていくことができます(1人1個)。近鉄では、昔は特急の車内で乗務員が乗客に布おしぼりを配付していました。現在ではさすがに配付人員はいませんが、自由に持っていける紙おしぼりはその名残です(うろ覚えですが、しまかぜでは乗務員から1人ずつ配付されたように思います)。新幹線だとグリーン車でしかもらえませんからね。

車内メニュー

さて、先ほどの販売カウンターで私が買ったのは次の3つです(私はあまりグッズは買いません)。値段等の詳細は近鉄ホームページで御確認ください。

  • バターサンド~アップルシナモン&抹茶わらびもち~(「あをによし」車内限定販売)
  • 紫芋のモンブラン(「あをによし」車内限定販売)
  • まほろばサイダー~あをの秘密~

・バターサンド~アップルシナモン&抹茶わらびもち~

バターサンドは1箱2個入りで、買うと、あをによしの袋に入れてもらえます。

このバターサンドは、「あをによし」の車体カラーをイメージして作られたオリジナルバターサンドです。1箱に2種類入っており、今回は「アップルシナモン」と「抹茶わらびもち」でした。個人的には、「抹茶わらびもち」がめちゃくちゃおいしかったです(わらびもちというより、抹茶味が強い)。

ちなみに、箱を開けると上の写真(左下)のようになりますが、箱の奥側から見ると、あをによしのデザインになっています(隠れているのでわかりにくいです)。記念に箱を持ち帰るなら、開封時にシール(あをによしのエムブレムデザイン)は丁寧にはがしましょう。

・紫芋のモンブラン

紫芋のモンブランは「あをによし」の紫色をイメージして作られた、紫芋のモンブランクリームとミルク風味のパンナコッタを合わせたデザートです。少し金粉も載っていました。

あまり大きくはないですが、量は見た目以上だと感じました。デザートとしては十分な量です。

・まほろばサイダー~あをの秘密~

まほろばサイダーはバタフライピーを使った色が変わる飲み物です。レモンのポーションを入れることで色が変わります。

色が変わる前
色が変わった後

車内ではあまり変色がわかりませんでしたが、写真だとかなりかわりますねぇ。

レモンのポーションを入れる前はほんのり甘く、入れるとさわやかな酸味になるそうですが、味の違いはそこまでわらなかった・・・(酸味は感じた)。おいしかったことは間違いないですよ。

今回はメニューの中から定番モノとしてこの3つを選びました。この3つで十分楽しめます。お酒が飲める人はクラフトビールもあります。ビールの缶はあをによし限定ラベルです。

車窓から見えるスポット

最後に、あをによしの車窓から見えるスポットを紹介します。車内の写真を撮ったり、スイーツ食べたりで忙しかったので、あまり撮れていませんが。

・生駒山地

生駒山地は大阪府と奈良県の間にある山地です。近鉄奈良線はここを越えていきます(ある程度登ってから、最後はトンネル)。下の写真は東花園駅付近から撮影したものです。

・大阪平野

生駒山地を登るには、山地に対して真正面から挑んでいくと坂が急になります。鉄道は坂に弱いです。なので、ここでは、平地部分では山地に対して正面から向かっていきますが、いざ登り始める所で(大阪から見ると)90度左に曲がって、線路は山地と平行になって徐々に登って行きます。

この坂を登っている途中で、(大阪発京都行の場合)進行方向左側を見ると、大阪平野を一望できます。間に建物があって見にくい所もありますが、とても良い眺めです。あべのハルカスも見えます。第8便(京都発難波行)だと、18時頃にここを通るので、冬は日没後で夜景が綺麗だと思います。

・平城宮跡

奈良県に入って大和西大寺駅を過ぎると、左右に平城宮跡が見えてきます。西大寺駅から奈良駅へ向かっている場合、右側には朱雀門、左側には大極殿等が見えます(いずれも復元)。現在も建物の復元が進んでいます。

朱雀門
大極殿等

この平城宮跡の真っただ中を通っているのが近鉄の特徴です。遺跡の中を通るのは賛否あるかもしれませんが、当初近鉄がここを通ることになった時には、まさか下にこんな遺跡があるとは知られていなかったので、そこは仕方の無いところです。

・神功皇后陵

奈良駅から折り返して京都駅へ向かう途中、大和西大寺駅の次の平城駅を過ぎてすぐ、(京都行の場合)左側に山(丘)が続けて2つ見えます。2つ目が神功皇后陵です。電車との間には住宅があり、少し遠いので、わかりにくいです。

右の写真は、以前にしまかぜに乗った時に撮影したものです。写真の赤丸部分が神功皇后陵です。神功皇后やしまかぜから見える他のスポットは以下の記事で紹介しています。

・任天堂本社

鴨川を渡って上鳥羽口駅を過ぎると、(京都行の場合)右側に任天堂本社が見えてきます。あをによしからでは手前に建物があって、上の方しか見えませんが、ビスタカーの2階席やしまかぜの1・6号車(ハイデッカー車)からはもう少し見えます。

・東寺

任天堂本社を過ぎると十条駅を通過します。十条駅通過後あたりから(京都行の場合)左側に東寺五重塔が見えます。これもビスタカーの2階席やしまかぜの1・6号車からの方がよく見えます。下の写真は、左があをによし、右がしまかぜから見たものです。


以上があをによしの紹介です。大人気なので、予約開始後すぐに特急券を取らないと乗ることは難しい(奈良発京都行はまだ取りやすいらしい)ですが、豪華な列車なので、ぜひ乗ってみてください。また、私が見落としている点があれば、コメントでぜひ教えてください。次回乗ることがあれば、参考にさせていただきます。

しまかぜの時もそうでしたが、写真を撮りまくっていたのもありますが、乗車時間(約1時間20分)は全然足りませんでした。今度はもう少しゆっくり乗車して満喫したいところです。次回予約するかを既に迷っている・・・。

※特に断りの無い限り、記事の内容は令和8年10月時点のものです。

《参考文献》

  • 近畿日本鉄道ホームページ(最終閲覧:令和8年10月30日)
  • あをによしパンフレット

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